mountaincollectorを運営する
山岳収集家、鈴木優香さんの著書。
まるで映画の短編集のように
山でのこと、日々思うこと、、
鈴木さんのまなざしを通した世界が
各章ごとに区切られながら
静かに、心地よく
染み込んでくる一冊。
じっくりと通して読み進めるのはもちろん、
大好きな7インチレコードを再生するように
ふと開いた章だけを読むのも、すごく良い。
ほんのわずかな時間でも、
喧騒を離れ、まるで自分も
山や、自然の中に居るような
穏やかな気持ちになれるはず。
mountain collectorというクリエイションの
バックグラウンドストーリーとしても
非常に読み応えがあります。
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-以下、鈴木さんの文章を掲載いたします-
この本は、2021年から2022年にかけて書いていた
「山岳収集通信」という読み物に、
いくつかの話を加えて一冊にまとめたものです。
自然の中で過ごした日のこと、
海外の旅のこと、そして日々思うこと。
そのときどきに見たことや感じたことを、
日記とエッセイの中間のような雰囲気で綴っています。
個人的な体験を文章にするということは、静かな浜辺で珊瑚を拾うようなものだと、私は思います。
誰かに見せることを前提とせず、誰からの評価も必要としない、ただただ純粋な行為だからです。
どこまでも続く浜辺に堆積した無数の珊瑚から、これだと思うひとつを拾い上げて手の中に収めること。
それは、滾々と流れていく日々から何かしらの出来事を取り上げ、文字にしたためることに似ています。
強く印象に残った出来事も、覚えていても覚えていなくても差し支えないような些細な出来事も、全ては等しくかけがえのないもの。
こうして書き残しておけば、何かの拍子で記憶の蓋を開けるきっかけになるかもしれません。そのときにきっと、書いておいて良かったと思うでしょう。
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『手の中の珊瑚』
著者 : 鈴木優香
148×105mm
176p
初版第一刷200部発行
第二版第ー刷200部発行
¥1,650